映画『秘密』ネタバレ感想〜涙が止まりませんでした〜

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こんにちは。織田(@eigakatsudou)です。

1999年に公開された映画『秘密』をAmazonプライム・ビデオで鑑賞しました。

監督はのちに『おくりびと』で名声を獲得した滝田洋二郎監督。主演に公開当時19歳だった広末涼子と、『深夜食堂』の小林薫。小林の妻役で岸本加世子が出演しています。

以下、感想部分で作品のネタバレや展開に触れていきます。未見の方はご注意ください。



『秘密』のスタッフ、キャスト

監督:滝田洋二郎
脚色:斉藤ひろし
原作:東野圭吾
杉田藻奈美:広末涼子
直子:広末涼子
杉田平介:小林薫
杉田直子:岸本加世子
梶川文也:金子賢
橋本多恵子:石田ゆり子
梶川幸広:大杉漣
相馬春樹:伊藤英明
木村邦子:篠原ともえ
友紀:浅見れいな
吉本和子:柴田理恵
弁護士:斉藤暁
藤崎:國村隼
大学教授:東野圭吾

あらすじ紹介

原作は東野圭吾の小説です。
また、2010年には佐々木蔵之介、志田未来、石田ひかりを主要キャストに置きドラマ化もされました。

まず、原作のあらすじAmazonの商品ページから引用します。

運命は、愛する人を二度奪っていく。
自動車部品メーカーで働く39歳の杉田平介は妻・直子と小学5年生の娘・藻奈美と暮らしていた。長野の実家に行く妻と娘を乗せたスキーバスが崖から転落してしまう。 妻の葬儀の夜、意識を取り戻した娘の体に宿っていたのは、死んだはずの妻だった。 その日から杉田家の切なく奇妙な“秘密”の生活が始まった。 外見は小学生ながら今までどおり家事をこなす妻は、やがて藻奈美の代わりに 新しい人生を送りたいと決意し、私立中学を受験、その後は医学部を目指して共学の高校を受験する。年頃になった彼女の周囲には男性の影がちらつき、 平介は妻であって娘でもある彼女への関係に苦しむようになる。
98年度ベストミステリーとして話題をさらい、広末涼子主演で映画化、志田未来主演で連続ドラマ化もされた東野圭吾の出世作。累計200万部突破の伝説のベストセラー。

Amazonの商品ページ

続いて、2010年のドラマ版のあらすじも、AmazonのDVD-BOX商品ページから引用します。

ごく平凡な3人家族を襲った突然の“悲劇”。 すべてはその瞬間から始まった―。電機メーカーに勤務する杉田平介は、バスが崖から転落する事故で、妻・直子を失う。娘・藻奈美は、奇跡的に助かるが、そのとき誰もが想像すらしなかった事態が起こっていた。 藻奈美の体には、妻・直子の魂が宿っていたのだ。 その日から、一家の切なく奇妙な“秘密”の生活が始まる。そんなある日、街で偶然、バス事故を引き起こした運転手の妻と出会った平介は、なぜバス事故が起きたのか不審に思い始める・・・。(全9話)

AmazonのDVD-BOX商品ページ

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そして最後に、映画版のあらすじです。

こちらはAmazon商品ページに記載されている堤昌司さんの解説を引用します。

原作は東野圭吾のベストセラー・ファンタジー小説。バスの交通事故により母親(岸本加世子)が死に、娘(広末涼子)は生き残った。しかし、生き残った娘の心は、死んだはずの母親のものだった。それは残された父親(小林薫)と娘の秘密となったが、夫婦なのか親子なのか、奇妙な生活は…。
広末が若い体に中年の心をもつという難しい一人二役をナチュラルに演じ、きわどいせりふもサラリとこなして、女優としての成長をうかがわせる。監督は『木村家の人々』『病院へ行こう』など、コメディを得意とする滝田洋二郎。いくらでも笑いのとれそうなこの物語を、あくまでも正攻法のラブストーリーに仕上げているところが成功の要因だろう。岸本と小林の別れのシーンのしみじみとした感動は忘れられない。(堤 昌司)

杉田平介(小林薫)妻・直子(岸本加世子)娘の藻奈美(広末涼子)はバスの事故に巻き込まれ崖下に落ちます。

直子が助からなかった一方で藻奈美は奇跡的に一命を取り留めますが、藻奈美の肉体に宿る魂は直子のものでした。

直子が憑依した状態で藻奈美は平介と二人で生活を続けていきます。

平介の前では娘の体で妻として振る舞い、外では娘の体で藻奈美として振る舞うということですね。

要は、広末涼子が(平介にとっての)娘と妻の二役を演じるということです。

今回は、死んだ妻の魂が娘に乗り移った、という設定を知った上で鑑賞しました。

原作小説とドラマはともに未読、未鑑賞です。

上記2つと映画では藻奈美の年齢や、キーパーソンとなるバスの運転手(大杉漣)の家族構成などが異なりますが、あくまでも映画に限定した感想としてごらんください。

以下、感想部分で作品のネタバレや展開に触れていきます。未見の方はご注意ください。

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映画のネタバレ感想

以下、作品のネタバレや展開に触れていきます。未見の方はご注意ください。

入れ替わり?憑依?

人格の入れ替わりというものは、大林宣彦監督の『転校生』(1982年)をはじめ、『君の名は。』(2016年)など近年でも題材になる技法です。

上記の作品は二者が同時に入れ替わる一対一のものでしたが、『秘密』は一つしかない肉体に死者の人格が乗り移るというものです。

だから憑依という言葉を使っていましたし、藻奈美の人格が戻るときは直子の魂が消えるということを意味します。

君の名は。 タイトル画像

映画『君の名は。』ネタバレ感想|体の色々な所を撃ち抜かれた

2017年3月4日

1999年の浅見れいな、伊藤英明

人格の入れ替わりにギャップを用いたお笑い要素は付き物ですが、この映画の良いところはコメディータッチを抑え、しっかりとストーリーの時計の針を進めていったところです。

娘の体で直子は女子高生を演じ、医学部を目指して勉強していきます。40歳で再び方程式を学ぶ直子がすごい…。

無事大学生になってからもサークルに入り、平介の不安を誘うような先輩との付き合いを描きました。

藻奈美(魂は直子)の周りの人間を演じたキャストが、また琴線に触れます。

藻奈美の親友である邦子を演じたのは90年代に「シノラー」で一斉を風靡した篠原ともえ。同じくクラスメイトのギャル役で浅見れいなが映画初出演を果たしています。

級友役では小田島くんという役で内山信二も出演。20年という時の経過に驚きますね…。

大学の先輩役で伊藤英明がモサモサした茶髪をなびかせて登場。大いに時代を感じましょう。

前述したバスの運転手(大杉漣)の息子役としては金子賢が出演。こちらはあまり変わらずイケメン。笑った時の歯が綺麗なんですよね。

事故被害者の國村隼も含め、世紀末の男性陣も楽しめました。



今日のお前は、どっちだ?

ここからは内容に詳細に触れながら考察をしていきます。

死んだはずのお母さんの魂が娘に乗り移ったという設定で既に面白いんですが、娘の魂もこの作品では復活します。憑依からの覚醒。

それでも直子の魂がまた戻ってきて、日によって広末涼子が藻奈美と直子に分かれます。

本記事ではこの後、直子の魂が憑依した広末涼子を緑色で、藻奈美の魂が戻った広末涼子を青色で表記します。

2人のどちらが現れるかは眠りから目覚めるまでわかりません。

平介(小林薫)が「今日は…どっちだ?」と聞いて「平ちゃん」と言えば直子、「お父さん」と言えば藻奈美

平介と一緒に探っていく感じがたまらなく楽しい。途中からは平介もどちらが出てくるのか楽しみにしている様子がよくわかりました。

​直子と藻奈美はお互いの魂が一つの体を通じてかわるがわる露見することを知りました。

2人は、藻奈美の体で行なった事を報告したり、気持ちを伝えるために手紙を出し合います。

『君の名は。』では、瀧と三葉がスマホの日記アプリを使って互いの存在を証明しましたが、『秘密』ではお母さんからの手紙、娘からの手紙、またビデオレターを使ってコミュニケーションを取りました。

家族間での手紙のやり取りって本当に美しい。

生前の親子3人が揃うシーンは、事故直前に直子と藻奈美が家を出発するところだけでした。平介の目を介在させて、再び3人が杉田家の下で揃う場面を復活させたのは素晴らしいの一言。

直子藻奈美が代わって平介の目の前に現れ、生活を営む流れはこの作品で最も盛り上がり、終わってほしくないと思える時間でした。

事実、藻奈美が現れてからの平介は一気に生気が宿り、楽しそうに生活を送ります。

妻との秘密、娘との秘密

平介は直子である事を確認するためにいくつかの質問をしました。

初めてのデートの場所、そこで食べたもの。

夫婦しか知り得ない「秘密」を使って試したわけですね。

序盤で描かれたこの思い出を、しっかりと山場で伏線回収。潔いくらいに真っ直ぐな展開が感情移入を誘います。

藻奈美の顔までもが直子に変わって見えていくところは、もう見ていられませんでした。良かったね!平ちゃん!!

また、平介の顎を撫でて「剃り残し」と言うのも直子と平介の間でしか知り得ない「秘密」。この「剃り残し」のキーワードを最後まで大事にした脚本には拍手です。

直子藻奈美の間の「秘密」は、藻奈美がお守りがわりにしていたテディベアという形で描かれた一方で、藻奈美と平介の間の「秘密」というのはあまり描かれていません。

だから平介は、藻奈美の魂が露見している時に2人の間での「秘密」を作りました。

直子は「平ちゃん」と切り出して続けます。

「最近あの子(藻奈美)、お金遣いが荒いのよ。たくさん服買ってるみたいで、財布がいつもすっからかんなの。」

平介は「ちゃんと注意しておくよ」と笑いますが、次のシーンで彼は大量の買い物袋を下げながらデレデレで藻奈美と歩きます。

言ったそばから…。笑いが止まりません。

藻奈美の魂が直子のままでは、娘に甘い父の顔を見せるのは難しい。

でも藻奈美の前では、お母さんには内緒だぞと言わんばかりの破顔です。

ちなみに藻奈美のクラスの担任と思われる橋本先生を石田ゆり子が演じていますが、びっくりするくらいに色っぽいです。平介が鼻の下を伸ばすのもわかります。

初めて職員室で面談した時に、彼は橋本先生の足に視線をやります。

ここで上手かったのが映し方。

普通ならば橋本先生のタイトスカートからのぞく脚を写し、平介の視線を視聴者と共有するはずです。けれどもそれをせずに、スカートを履く橋本先生は脚を組み直したんだろう、と我々に想像させたんですね。

​平介が視線をやったことに気がつかない人もいるかもしれません。

衝撃の告白。平介は何を思う

機微をさりげなく描く上手さは庭の草花のシーンでも見られました。

こまめに水をやり草花を大事に育ててきた直子は、自身のいない間(事故で死んで、藻奈美の体で戻ってくるまでの間)に世話を怠った平介を咎めました。

そのあと庭が風鈴の音と一緒に映され、庭のスプリンクラーが草花に届かない水をシュポシュポと撒いているシーンが何度かありました。

当然、草花は萎れてしまいます。

そして後半、藻奈美が帰ってきてからは彼女が水をやり、草花が鮮やかに庭を彩るようになります。

この草花の表情の変化は、平介の精神状態を表したものだと思いました。

日替わりではあるものの、妻と娘がそこにいる平介の充実度の象徴です。

広末涼子が演じる藻奈美は直子の状態でも、藻奈美の状態でも水をやっていました。

でも、草花に水をやるのは直子の仕事なんです。

平介は藻奈美が帰ってきたと思っていましたが、その藻奈美も直子が演じていたものだったんです。

これはラストシーンの「ずっと、お前だったのか…」の衝撃を受け止めた後に気づきました。

平介は藻奈美の結婚式で顎を触られ、結婚指輪を中に入れたテディベアを披露宴に持っていくと言われた時にようやく察しましたが、実はその前に伏線は張られていたんですね。

若い女の容姿を持った妻への束縛、疑い。

色んなしがらみから解放されるために、また平介を迷いから解放するために、直子は自らの憑依が解けて藻奈美が帰ってきたように見せかけました。

感動的なホームドラマからの残酷などんでん返し。たしかに平介が可哀想だという意見があるのもわかります。

けれど、その残酷さの裏にある直子の思いを考えると、また胸にこみ上げる思いがありました。

2時間の尺に起伏と感動を詰め込んだ素晴らしい作品。観て良かったです。

 

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